中学校の美術の成績が5段階評価で【2】で、美術とは縁遠いと思っていた私が西洋美術のおもしろさに目覚めました。
きっかけはバレエ。エジプト壁画にインスピレーションをえた作品を観て、その流れで西洋絵画に興味をもつように。
今では『美術鑑賞』は趣味の一つです。
西洋美術を学ぼうとなった時に困ったのが、自分のレベルにあった本探し。
大人で独学、周りに同じような趣味の人はいませんでしたので、Amazonのレビューや、美術ブログで「初心者におすすめ」とされているものを読みまくりました。
私のレベルにピッタリで学びを手助けしてくれた良書にも出会えました。でも、レベルに合わないものもかなり多くありました。
「初心者でも大丈夫」と書いてあり、確かに文章はやさしいのです。
しかし『ガチガチのガチの本当の初心者』を舐めてはいけません!
本当に、全然、まったく知識ゼロの状態で、“入門書”をよんでも挫折します。
そこで今回、過去の私のために初心者による初心者のための西洋美術の学び方を記事にすることにしました。
もくじ
西洋美術の初心者は”笑い”を基準に本を選ぼう
本が自分のレベルに合っているかどうか判定する基準は
文章を読んで「ふふふ」と笑えるかどうか
です。笑えるということは、読んだ瞬間に理解できているということ。自分のレベルに合っているということです。
さらに「ふふふ」と笑いつつ
「へーそうなんだ!」と思える内容があること
大人が勉強する理由は「知的欲求を満たすこと」だと思います。
だから、「なるほど!そうなのか!」と思えることがないと、いくら笑えてもつまらなくなります。
笑いだけでもだめ。知的な内容だけでもだめ。大人の独学は書籍選びが本当に大変です( ^ω^ )
とにかく簡単で”わかりやすい笑い”がある本を読む
いちばん最初に読むべきなのが【西洋美術を扱ったエンタメ本】です。
山田五郎先生の以下の著書がおすすめです!
- へんな西洋絵画
- ヘンタイ美術館
文章が少なめで、絵がたくさんフルカラーで掲載されていて、しかも解説がインパクト強めなので記憶に残りやすいです。
まさに超入門にピッタリ!!
もはや怪獣!山より巨大な警官あらわる
引用:山田五郎「へんな西洋絵画」
アンリ・ルソーの絵画の説明文の一部ですが、興味湧いちゃいませんか?
こんな独特な表現がいっぱいで、笑いながら西洋美術の世界へ片足をつっこめてしまいます。山田先生は天才だわ。
ヘンタイ美術館もゴシップ誌みたいなライト感でサクッと読めます。時代背景や有名な画家のエピソードを知ることができておすすめです。
構想やスケッチは山ほどあるのに完成作が数えるほどしかないのは、完璧主義なくせに飽きっぽい性格だったからだと思います。完璧さを求めて制作に時間をかけすぎるせいで、その間に他のことに興味が湧いて飽きてしまう。
引用:山田五郎「ヘンタイ美術館」
こちらはダヴィンチの人物像についての説明ですが、いつの時代も天才はとんでもないエピソードがあるんだなと思いました。美化されていないエピソードは面白すぎます。
どのエピソードもインパクトが強いので、記憶に残りやすいんですよね。書籍の構成がすごい。
ターゲット層と内容が完璧にマッチしていて、編集者さん、相当実力者…(ゴクリっ)
知っている画家は、ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、フェルメール、ゴッホ、ピカソくらいで
「レンブラント?誰それ?」
「セザンヌ?名前だけは聞いたことあるようなないような…」
「フェルメールとルノワール、別人だったのね!笑」
というかたはぜひこのレベルからスタートしてみてください。
絵画や美術品が登場する映画を鑑賞する
次に西洋絵画関連の映画やテレビ番組、映像作品を楽しみましょう!
知識が増えたことを実感できると思います。「あー!これ知っている!」となると嬉しいですよね!
おもわずウンチクを語りたくなるかもしれませんが、そこはグッとこらえましょう。笑
『ダヴィンチコード』は紹介するまでもなく、超有名な映画ですし絵画知識がなくても面白い映画ですが、絵画知識をもって観るとさらに面白いですよ!
『ゴッホ 真実の手紙』はドキュメンタリー風の番組です。
私は俳優のベネディクト・カンバーバッチが好きで、たまたま鑑賞したのですが、すごくおもしろかったです。
ゴッホの人生がぎゅぎゅっと詰まっていて、さらにゴッホの絵画の変遷、何に影響を受けて表現が変化していったのか知ることができます。
そのほかにも
- 黄金のアデーレ 名画の帰還
- ミケランジェロプロジェクト
これらの映画はエンタメ要素も強く、楽しく視聴することができると思います。
”入門書”で興味のあるジャンルを把握する
ここでようやく”入門書”の登場です!
入門書とは、表紙に”入門”とか”はじめての”と書かれているものを指します。
入門書にザッと目を通し、「この絵、好きかも」「これは興味ないな」と自分の好みを把握していきます。
ちなみに私は【印象主義】【バロック】【アンリ・ルソー】が好きだなと思いました。あとは意外と宗教画も好き。なぜなら大きいから!
”入門”と名前がついている本の多くは
- 大昔から現代美術まで、年代別にまとめてあるもの
- 有名な画家を網羅し、作風を簡単にまとめているもの
- 超有名な絵画を網羅し、特徴を簡単にまとめているもの
このうちのどれかに分類されます。
各ジャンル、1冊お気に入りをみつけておくといいと思います。
書籍の難易度が上がってくると「バロックらしい」とか「マネに影響を受けた」という言葉が知っていて当然の前提でバンバンでてきます。
その際に「バロックってどんな特徴あったっけ?」「マネってどんな画家だったっけ?」とサッと確認するためにも使えます。
詳しく知りたい内容に合わせて本を選ぶ
超入門から始まり、たくさんの絵にふれるにつれて、絵の見分けがなんとなくつくようになります。
『この絵はカラヴァッジョっぽいな…お、やっぱりー!』
この瞬間が最高です。知識と知識が繋がって、頭の中がカチッとなるとき、すごく気持ちいですよね!
美術に慣れ親しんでいるかたからすると、「そんな超名作を知らなかったんかい!」と逆に笑われてしまいそうですが、これは初学者ならではの快感ということで^^
このあたりになってくると「知りたいこと」が明確になるので、本の選び方に困らなくなってきます。
・絵画の見方をもうワンステップ詳しく知りたい(アトリビュートなど)
・絵画の時代背景について詳しく知りたい
・推しの画家について詳しく知りたい
各々の、そしてその時々の「知りたい欲求」に合う本を読みましょう^^
ここまでくると独学も一気に楽しくなりますよ!
ここからはAmazonのレビューや美術ブログを参考にしてみてください。
最初に「Amazonのレビューを参考にするな」と書きましたが、ここからは参考にして大丈夫です。
Amazonレビュワーのほとんどは、最低でもすでに数冊の美術関連書を読んでいるか、美術展や日曜美術館(テレビ番組)を視聴していたり、すでに美術に慣れ親しんでいる人たちばかりだとおもいます。
ガチガチのガチで美術初心者の方はほとんどいないのではないでしょうか。ガチガチのガチの美術初心者は恐れ多くてレビューなど書けないのだと思います。
(私なんかが語っていいの…?という心理抵抗ですね)
美術に詳しいレビュワーが「入門者でもこれくらいは知っているでしょ」と見積もって、「これから美術に慣れ親しみたい人にもおすすめ」とレビューしているんじゃないかなと。
…まあ、私の想像ですが。笑
その結果、「入門レベルなのに難しい…私には合わないのかな…」となってしまう人もいると思うんです。
超入門者の知識レベルを高く見積りすぎていると思うんですよね。
フェルメールとルノワールを間違える、それが超入門者の知識レベルだ!(威張ることではない)
ただステップを踏んで、ここまでくれば『初心者』『入門者』向けの本のほとんどを楽しく読むことができます。
レビューを参考に(書店や図書館に行ける方は実際に手にとって)、気の向くままに美術の世界を楽しんでいきましょう!
まとめ
なにか新しいことを学ぶとき、知らないことだらけだと人間はやる気を失います。
私は最初、Amazonで「初心者にもおすすめ」と書いてある本を手にしたのですが、見事に撃沈しました。笑
知らない人物、知らない絵画、知らない言葉だらけだったからです。
人間、知らないことが多すぎると興味が持てないですよね。脳内にネットワークができていないので、関連づけて覚えることもできないから本当に大変なのです。
でも、安心してください。そんな私も今や「趣味は西洋美術鑑賞」といえるくらいにはなりました。
“笑い”から進めると面白く読むことができ、だんだんとレベルアップすること間違いなしです。
ちょっとずつ知識を増やしていくことで、作品同士が頭にストックされ、頭の中に西洋美術のネットワークが構築されていきます。
そうなればこちらのもの!
自分の目で鑑賞し、今まで気がつかなったことを発見できたり、感じられなかったことが感じられるようになったり…
ちょっとだけ「感性」の磨かれた自分に出会うことができます^^
ぜひ一緒に西洋美術を楽しみましょう!