100分の映画で生涯をまとめようとしたら時間が足りなかったんでしょうか。
俳優の演技がいいし、グッとくる胸熱シーンもありますが、ストーリーがブツブツのブツ切りになっていて記憶に残りにくいのが残念です。
「どんな映画?」と質問されたら「メリル・ストリープが美しく、演技がすごくいい映画」と答えてしまう内容になっています。
マーガレット・サッチャー鉄の女の涙のあらすじと概要
イギリス初の女性首相、マーガレット・サッチャーの人生を、戦中の若年期から1990年の首相退陣に至るまで回想を挟みながら描く。
政界引退後、認知症を患うマーガレットの実生活と重ね合わせながら、彼女のこれまで辿ってきた政治家、妻としての半生を振り返る構成で物語が進んでいく。既に亡くなっている夫デニスが幻覚としてマーガレットと生活を共にしているという設定であり、彼とのやり取りの中で、政治家としての生活を優先するあまり、妻として母としての役割を放棄してきた葛藤も描かれている。反面、子供たちとの描写は少なく、成人後の子供は娘のキャロルのみ登場し、息子のマークは登場しない。政治活動としてはヒース内閣での教育相時代を経て、経済建て直しのための国営化政策の撤廃、頻発する暴動への妥協無き対決、フォークランド紛争勃発当初のアメリカ側慎重論とそれへの反発も描かれている。
人頭税導入を強硬しようとして政界を去る部分については国民の反発というより、保守党内部での孤立と造反が主な原因であるかのように描写されている。なお、劇中何度か登場する暴動シーンには、本物の労働争議での記録映像が使用されている。
引用:ウィキペディア「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」
マーガレット・サッチャーはイギリス初の女性首相(1979年就任)です。
イギリスは議院内閣制を採用しており、首相は下院の第一党の党首が国王により任命されます。ちなみに下院議員は選挙によって選ばれますが、上院議員は選挙なしも貴族で構成されています。
マーガレット・サッチャーは、女性ではじめて下院の第一党の党首になったということですね。
タイトルにもなっている『鉄の女(Iron Lady)』ですが、由来はソ連の国防省機関紙に掲載された軍事ジャーナリストの論文からきているそうです。
マーガレット・サッチャー鉄の女の涙の感想
イギリスの元首相マーガレット・サッチャーの生涯を描いた伝記映画。あまりにも話がたんたんと進むので、記憶に残らない作品になっています。
マーガレット・サッチャー役のメリル・ストリープの美しさと、演技の素晴らしさに助けられている映画です。
なぜこんなにもあっさりとしているのかというと、主人公マーガレット・サッチャーの人生を点でしか捉えていないからです。
父親の小売店を手伝う娘時代→オックスフォード大学合格→下院議員を目指す→落選して落ち込んでいたら夫からプロポーズされる→当選→教育科学大臣になる→「私、党首に立候補する!」→党首になる→色々ある→辞職…
これらの話が全部ブッツン、ブッツン切れまくりで話が進みます。
教科書の年表を映像でみせられているような気分です。映画作品に期待するのは、その年表にある行間なのですが…!
例えば「党首に立候補するわ!」と夫に報告したところ、夫に反対されます。
いくら才気煥発な彼女に惹かれ、彼女の人生を応援すると決めてプロポーズしたとはいえ…想像以上に結婚生活は大変だったと思います。。
なんせ夫が何日も不在だったのを気がつかないほど仕事に熱中していたらしいので。
ここで何らかの夫婦エピソードがあるのかと思いきや、とくになにもありません。
夫が南アフリカに家出するほど悩んでいるのに!!
その後も話しはたんたんと進み、マーガレット・サッチャーを党首にすることを応援する人たちの協力で、威厳のある話し方とビジュアルに変身。
そして見事…
党首になります。
…うん。
そして、首相になります。
党首になることを渋っていた夫はというと…
協力的になっています。
…なにがあったの???
なんらかの心の変化や、変化のきっかけとなる出来事とかあったわけですよね。
なにがあったのー!????
そして、首相として色々ありながら
離反されます。
辞任します。
正直、他の議員たちとの絡みがほとんどないので、離反されて「裏切り者ー!」みたいなのがよくわかりませんでした。
裏切られたと感じたということは、信頼していたということじゃないですか。
でも映画の中で他の議員たちとの交流がないのです。サッチャーがどの議員とどんな交流をしていて、どんな関係を構築していたのかまったくわかりません。
それでいうと、党首に推された理由もわからないし、支援してくれていた人たちは一体誰なんだ…?J.Y.Parkばりのプロデュース能力とブランディング能力をもったあの彼らは一体だれ?彼らの目的は??(急にサスペンス調)
サッチャーの生涯を100分の映画の中でまとめようと思うと駆け足になってしまうのは仕方ないとして。
そうだとしたら「男性社会で働く女性」とか「自分の人生と母親としての人生で葛藤する女性」とかそういうプライベートな部分にフォーカスしてもよかったのではないでしょうか。
この写真を観ただけで、「絶対、サッチャー大変だったでしょ…」と政治に詳しくない私だって思いますもん。
実際、この当時の女性議員なんて1割以下。10数名程度。
教育科学大臣として発言すれば…
男性議員「私にはご婦人が甲高い声でキンキンがなっているとしか思えん。
いいかね、我々に真剣に話を聞いてほしいと思うなら、冷静になることを覚えなさい。」
サッチャー「それより先生には私が話している内容にもっと注意を向けていただきたいわ。
私の話し方をどうこう言うより、先生がご存知ない貴重なことを学べるかもしれませんよ。」
こんな感じですもんね。
「おやおやおや( ^ω^ )議員さんよ、トーンポリシングですか?」ですよ。
過去の出来事(しかも映画でのはなし)にイライラしちゃったんですが、こんなことはおそらく日常茶飯事で。
そのあたりをどうやって折り合いをつけていたのかとか、個人的には知りたかったなと思います。
サッチャーがおこなった政策がどうだったのか、どんな影響を与えたのかということも知りたいとも思いましたけども、そこは賛否が別れていて映画で書くのは難しいとしたら、プライベートな葛藤を掘り下げる映画にしてもよかったのではーと思いました。
メリル・ストリープ、美しい。
マーガレット・サッチャー鉄の女の涙のスタッフ・出演者
2011年製作のイギリス映画。監督はフィリ・ロイド、脚本はアビ・モーガン。
<キャスト>
マーガレット・サッチャー/メリル・ストリープ
若き日のマーガレット/アレクサンドラ・ローチ
デニス・サッチャー/ ジム・ブロードベント
若き日のデニス /ハリー・ロイド
キャロル・サッチャー /オリヴィア・コールマン
ゴードン・リース/ ロジャー・アラム
ジューン /スーザン・ブラウン
ジム・プライアー/ニック・ダニング
エアリー・ニーブ/ニコラス・ファレル
アルフレッド・ロバーツ/イアン・グレン
マイケル・ヘーゼルタイン /リチャード・E・グラント
ジェフリー・ハウ /アンソニー・ヘッド