こんにちは。三上みひろです!
西洋絵画は奇妙な絵が多いし、その割には数百億とか超高額で取り扱われていて意味不明。
みんな本当にあの絵をいいと思っているの?高いからいいものと思っているだけじゃないの??
と思っている方に読んでいただきたい本があります。
こちらです!!!
タイトル:へんな西洋絵画
著者:山田五郎
出版年:2018年10月10日(初版)
よくぞこれだけヘンな絵画を集められたなーと感心するほどのへんな絵がびっしりと紹介されています。
山田先生の解説もいちいち面白くて、そんな切り口で絵をみるのかー!!
とにかく面白い( ^ω^ )リビングのソファ脇に置いて、何度も何度も読み返しているんですが、読むたびに発見があります。
こちらの本、難しい言葉もいっさいなく、取り上げられている絵画も印象的。
そんな体裁だからついついエンタメ本として扱ってしまいがちなんですが(実際エンタメ本ですし)、本が発しているメッセージは意外と深い。
自分が感じたことと正直に向き合いなさい。
他人からの評価を気にして賢いふりをしていたら、そこからの成長はないよ。
もちろん山田先生はお説教くさいことは一切なし。本のなかに直接は書いていないけど、そんなメッセージを受け取りました。
「なんかヘンだわ!」という感覚をそのまま受け入れる勇気
西洋絵画といえば「聖母子像」をイメージする人も多いと思うんですが、あの絵、へんな絵多くないですか!?
ちなみに聖母子像とは、聖母マリアと幼児イエス・キリストを共に描いたキリスト教の絵画です。女性が赤ちゃんを抱っこしている絵ですね。
はっきり言って、ことごとく奇妙だと思います。
ちょっと試しにみてみてください。本当にへんですから。笑
おっぱい丸出し。なんで赤ちゃんこっちみてるの?
(この絵は”聖家族”なので、うしろにいる男性は”義父ヨセフ”です)
あの…お顔が…お顔が怖いです!
マリア様は美しいけど…。うーん…やはりイエス様のお顔が怖いんですが…!!
…文句なしに怖い\(^^)/
そうです!
聖母子像の赤ちゃんがまったく可愛くないんです!!
赤ちゃんと母親ですよ?
そのお姿を描くとなれば、愛に溢れて笑顔で…みたいなイメージがあるじゃないですか。
少なくともあんな強面の赤ちゃんいます?みたことないですよ!
あ、この絵はなんかいい感じ!!
と思ったら、ラファエロさんですか。
いやー西洋絵画、意味不明だわ…。
なんだかこの絵たち、へんだわ!!
とまあ、ブログなのでこんな強気で言えちゃいますが。笑
もしこれが好きな人とのデートだったとしたら?
周りの人が「さすがだったねー!もう感動しちゃったー!」と盛り上がっていたとしたら?
あ、もちろん聞かれてもいないのに「西洋絵画の聖母子像、怖くないですか?意味不明ですよね!」とか言いだしたら”空気読めない人”です。笑
そうではなく「あなたはどう感じましたか?」と質問されたと仮定して「ヘンだと思いました!赤ちゃんが可愛くないと思いました!」と言えますか?
おそらく言えないと思うんですよ。
「私は詳しいことはわからないので、よくわかりませんでした」
「詳しいことはわからないのですが、迫力がありました」
などなどの当たり障りのないことしか言えないんじゃないかなと思います。
私?おそらく…当たり障りのないこと言っちゃいますよ。笑
そして、心の中でこんな言葉をぼそっとつぶやくはずです。
有名絵画ということは”いいもの”なはず。(私にはよくわからないけど)
顔がヘンだと思うけど、西洋絵画って”そういうもの”なんでしょ。(私は好みじゃないけど)
とこんな感じなんじゃないかなと。
これが!非常にもったいない!!
「へんだ」と感じた気持ちに蓋をし、蓋をしてしまうから「そういうもの」として受け入れるしかなくなってしまうのです。
でももし、この「へんだ」を大切にできたら?
その先に絵画を通した自己対話が待っています!
(ということを、山田先生は書籍で伝えたいんだと思っています。勝手にw)
「へんだ」という感覚は意外と当たっている
ここで、山田五郎著の【へんな西洋絵画】を読んでみるとこんなことが書いてあります。
西洋の古典絵画の特徴は可愛くない「へん」な子どもが多いこと
子どもは基本的に可愛いもの。これは世界共通の認識のはず。ところが西洋の古典絵画には、どうみても可愛くないが子どもが描かれていることが少なくありません。
山田五郎「へんな西洋絵画」
やっぱりあの赤ちゃんは”可愛くない”んですね。笑
なぜあえて可愛くなく描いたのか?その理由は、描かれたのがどんな子どもだったかを考えればわかるでしょう。(中略)人の子の姿をしていても実は神の子で、人類の罪を背負って十字架に磔にされる救世主。そんなお方を普通の子どもと同じに描くわけにはいきませんよね。
山田五郎「へんな西洋絵画」
てっきり当時の絵画技術が現代と比べて未発達で、だから現代人にとって奇妙にみえるのかと思っていました。知らなかった!
そうは言っても、子供らしさと威厳という、相反する要素を両立させるのは至難の業。可愛らしさと気品を併せ持つ聖母子像を描けた画家はラファエロほか数えるほどしかおらず、多くの場合は威厳を優先して可愛くない子どもを描いてしまったのでしょう。
山田五郎「へんな西洋絵画」
ラファエロさんの凄さが際立ちますね!
ここまでは絵画の知識です。
で、ここからが絵画を通した自己対話につながるところです( ^ω^ )
洋の東西を問わず可愛いという概念には、親しみやすさだけでなく、未熟さや稚拙さといった本来はダメな要素も含まれています。日本語のkawaiiが国際語になっている事実が物語るように、子どもの可愛さをダメさを含めて100%ポジティブに評価うするのは、実は日本文化特有の価値観なのです。世界規模で見れば、可愛くない子どもを「へん」だと思う私たちのほうが、むしろ「へん」なのかもしれません。
山田五郎「へんな西洋絵画」
な、なるほど…!
私は「可愛い=いいこと」だと思っていたし、だから「なぜ可愛いものを可愛くなく描くの?」と疑問だった。
「神々しさを表すのなら、この世のものとは思えないほどの愛くるしさでもいいじゃない?」と思っていたし。だって可愛いのはいいことだから…!
でも「可愛い=いいこと」はあくまで(日本に生まれ育った)私の価値観で、そうではない人たちもいて、そうではない人たちにとってはこの絵画はまったく違うものに見えているのかもしれない。なるほどー!
と、自分のフィルターに気がついてので、そのフィルターをはずして絵画をもう一度観てみました。
やっぱりへんだと思う!少なくとも部屋に飾りたくはない。笑
ここでの注意点は”世界規模で見れば、可愛くない子どもを「へん」だと思う私たちのほうが、むしろ「へん」”だとしても、その上で私はどんな価値観を選びたいかということです。
無理矢理に価値観を変えるのではなく、自分がどんな価値観を持っているか自覚することにポイントがあります!
西洋絵画は自分の価値観と向き合うきっかけになる
自分が感じたことと正直に向き合いなさい。
他人からの評価を気にして賢いふりをしていたら、そこからの成長はないよ。
と最初に書きましたが、言うは易く行うは難しなんてことは100も承知で言っております。笑
人間、誰だってバカだと思われたくないし、無知だと思われたくないし、無教養だと思われたくないものです。
無自覚・自覚問わず、わからないことをわかったふりすることや、わかったような気になって終わらせてしまうこともあると思います。私だってあります。
でもそこをあえて意識することで、得られる未来は変わってくると思いませんか?
例えば「この絵、どうだった?」と質問されて
「赤ちゃんの顔がヘンだと思いました!」
と思ったことをきちんと伝えていたらどうなるでしょう。
絵画に明るい方であれば、「はい!その感想待ってましたー!!」だと思います。笑
西洋絵画をみて”へんだ”と感じるのは異文化に暮らす私たちなら当然だからです。
むしろその「へんだ」と感じたポイントこそ、重要な点なのでは?と思います。
反対に、西洋絵画に詳しくない方同士であれば「だよねー!あの絵はヘンだわ!」と盛り上がったり、「どうしてあの絵が価値あるとされているんだろうね?」なんて疑問が湧いて、一緒に勉強する仲間になるかもしれません。
答えた側からすると「こんな簡単なことを思ったままに言っちゃったけどいいのかな?」なんて思うかもしれませんが、それこそが大切なことだったりするんです。
西洋絵画は異文化のものです。
それを観て、「へんだ!意味不明!」と思うことは自分の自覚していない概念に気が付けるチャンスです。
私の場合「kawaii」 が日本独自の概念ということを知識としては知っていました。(聞いたことがあるレベル)
でも「なるほど!こういうことか!」と体験できたのは、これが初めてでした。
「可愛い=いいこと(未熟さがあってもいい)」という概念、当たり前になりすぎていて疑ったこともありませんでした。
そのチャンスを活かすためにも「へんだ」と感じたことをそのまま受け止める。
わかったふりをして、「そういうものなんでしょ」と受け流していては理解を深めることはできません。
ヘンだと感じたことをきっかけに、「何をヘンだと感じるのか」「これが受け入れられている世界では”何が普通”なのか」そう探求していくことで、絵画への理解が深まると同時に自分自身の理解も深まります。
物分かりのいいふりするのは終わりにしましょう。
これはヘンだわ!笑
を大切にして、知的生活を満喫していきましょう。